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金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第167回

今日は思い出話しを一つ。
14年前の、僕の初めての独立開業の準備期間の一時期、生活費を稼ぐ為に横浜の産業廃棄物処理場に日雇いで行っていた。
週に5〜6日、三ヶ月くらいみっちりお世話になった。

親方「南くんは学生?」

俺「いえ、ラーメン屋です。いま開店準備をしてて…」
なんて話しから俺はこの職場では「ラーメン屋さん」というあだ名をつけられた。
お昼休憩に昼寝をしてると、「南くん!ラーメン屋さん!スープが焦げるよ!」と声を掛けられると俺が跳ね起きる。

その度にみんなが爆笑する、というのが恒例行事になっていた。
この産業廃棄物処理場に来ている人は、どの人もどの人も個性の強い人ばかりで、親方に言わせると「全員苦労して、なんとかこの職場で食いつないでる人ばっかし」だそうだ。
娘さんがヤクザと結婚する事になった、という男性がいた。

「だからさ、俺は言ってやったんだ。半端なヤクザにやる娘はいねぇ!やるなら組長になれ!ってな」
万事がこんな刺激に満ちた会話ばかりだった。
そんな毎日を過ごしていると、俺のユニフォームはドンドン汚れて来て「ゴミ屋らしい」by親方談な姿になってきたらしい。
親方「なんだよ、南くん!全然開店の話しがすすまねーじゃねーかよ!すっかりゴミ屋らしくなっちまって!ラーメン屋よりもゴミ屋の方があってんじゃねーの!?」
なんて言われて、あぁ、気に入ってもらえてるねんな…なんて嬉しく思ってた。
その時期、当時の開業のオーナーと揉めたりしていた事もあって、一度ラーメン屋開店の話しを白紙に戻そうか…と考えたりもしていたから、なおさらその言葉に色んな感情が浮かんだのを覚えている。
すると急に物件が見つかり、慌ててその産業廃棄物処理場にもう来れないと伝えてすぐに開店の為の怒涛の忙しい毎日が始まった。
あまりにも急に決まったので、親方を始め、その職場の方にきちんと挨拶が出来ないままだった。
なんか申し訳ないな…なんて思ってたら、開店して3日目くらいにいきなり親方と社員の方が2人で来てくれた!
僕の店は開店直後の慌しさでドタバタして満席ということもあり、親方も気を使ったのか食べたらすぐに出て行ってしまった。
俺は急いで追いかけて

「どうも今日はありがとうございました!」

と大きな声で親方の背中に向かって叫んだら、親方が照れ臭そうに振り返ってこう言った。
「ゴミ屋よりラーメン屋の方が似合ってんじゃん」
これ以来一度も会ってないし、連絡先の知らないけど、この言葉は一生忘れない。
あれから14年かぁ。

あっちゅう間やったけど、青春でした。

でもこれからも青春です。
より、ラーメン屋が似合う男になりたいなぁ。