金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第123回

海辺の町での店で、
売上が急上昇し始めた時に
一人のスタッフにこんな事を言われた。

「大さんてきっと貯金半端ないですよね」
「え?なんでそんな風に思うの?」
「だって、一日の労働時間めっちゃ長いし、
休みもほとんどないじゃないですか。
いつ金使うんすか?
車もバイクもブランドも腕時計も興味ないし」

(いや、興味ないわけやないねんけど・・・)
という気持ちは押し殺し、

「うん、まぁ、ぼちぼち・・・」

と言葉を濁してごまかした。
何故なら、このスタッフとずっと一緒に
働きたかったからだ。
もし僕が会社からあれこれ責任を取らされて
借金をしていると知ったら、
このスタッフはすぐに辞めただろう。
「こんな店にはいたくない」と。

だから店のスタッフと出かける時は
とにかく大判振る舞いをした。
なけなしのお金をその日に全部注ぎ込んだ。

『稼げる仕事なんだ』

と思わせたかったからだ。

なぜ当時僕が稼げなかったかは、
ここで書く事はアンフェアなので
控えさせていただく。

ただ一つ言えるのは、
この時の経験があったから
本来なら苦手な経営意識が
僕の中で芽生えた。
どうすれば店のスタッフに
還元できるのか?を真剣に考える様になった。
そして今、その青写真は出来あがりつつある。

あとは僕が成功するだけなのだ。

だからこのブログに何度も書くが、
僕は海辺の町での苦しかった毎日に感謝をしている。
もう自分の様な想いを若い世代にさせたくない、
この想いが僕を突き動かしている
原動力の一つである事は間違いない。

話が少し逸れた。

結局この若いスタッフは、

「大さんの働き方を見ていると、僕自信なくなります。
僕、大さんの真似はできません。
今の彼女と結婚もしたいし、子育てもしたいです。
家族で旅行もしたいです。
大さんみたいに朝から朝まで働くとか、
そこまでらーめんに情熱を持てません」

と言って辞めて行った。

僕だって好き好んで休みもなく
朝から朝まで働いていたわけではない。
どうしてもスタッフを増やせない会社の仕組みを
僕の力で変える事が出来なかったのだ。

僕だって休みが欲しかったし、
もっと本を読んだりスポーツをしたり、
結婚を前提とした恋愛をしたりしたかった。

でもその全てが『不可能』だったのだ。

大好きな小説を読むことすら、不可能だったのだ。

そして12年も店をやっていたというのに、
誰一人として僕の後継者を作る事が出来なかった。

僕の働く環境に憧れる若い人なんて、
誰もいなかったのだ。

以下、次回に続く。