金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第85回

らーめんとは一体何なのか?

この疑問を正確に答えられる人が
果たしているのだろうか?
おそらく日本中のらーめん屋も
らーめんマニアも
海辺の町で僕の店に週に五回も
通ってくれた常連客も、
そして僕自身も答えられないだろう。

その答えのヒントをうどんは
逆説的に教えてくれている気がする。

前回のブログでも書いたが、
僕は自分が作ったらーめんの麺で
生卵と醤油だけの味付けで
お客様からお金を取る自信がない。
今、『台湾混ぜそば』や『和えそば』
といったスープのないらーめんが
人気を博している。
しかしそれは
『スープがない』
らーめんであって、
麺そのものを楽しむものではない。

らーめんの麺に生卵と醤油だけで
食べてもきっと美味しい。
しかし、物足りないからちょっとラー油を・・・
ちょっとひき肉を・・・
ちょっと具材を・・・・
とやっていくうちに全く別物の
食べ物が生まれる。

しかし讃岐うどん
『かま玉』
という食べ方は具材がなくても
麺そのもの存在感ですでに料理として
完成されている。

その麺自体が持ち得る存在感としては
らーめんの麺は敵いっこないのだ。

ではらーめんの麺の特徴とは何だろう?

らーめんの麺とは独特の『コシ』にある。
らーめんの麺のコシは、『かん水』と呼ばれる
アルカリ性の塩水溶液によるものである。
もともとはモンゴルの湖に塩水の湖があり、
その水で麺を打ったところ、
あの独特のコシが生まれた、というのが定説である。

そしてかん水は独特の臭みがある。
少しアンモニアに近い。
らーめん屋独特の匂いは、
様々な具材とかん水の匂いのな混ざったものだ。

その匂いが強烈だと食欲は減退するが、
多少の臭みはむしろクセになる。
らーめんの魔力は、臭みにもある。

イメージして欲しい。
高価な香水もほのかに香らせていると
高貴で香しい魅力となるが、
これ見よがしにまき散らしていると
人に不快感を与える。

かん水の香りは臭みと食欲の
見事な中間地点にある。
僕たちの遺伝子に『ほら、腹減ってんだろ?』
と直截的に訴えかけてくるのだ。

僕がらーめん屋で修業を始めた頃(16年前)、
かん水は体に悪いものとされ、
かん水に変わる食材の研究がなされた。
中には『蟹の甲羅の粉末』を使う店もあった。
しかしかん水の生みだすコシには
遠く及ばなかった。
そしてかん水も研究と進化が進み、
体に悪いとされる要素はなくなった。

今はかん水に疑問を持つ
らーめん屋も製麺業者も皆無だと思う。

それくらいかん水はらーめんの麺にとって
重要なのだ。

以下、次回に続く。

*写真は海辺の町での僕の店の
自家製麺です。
この帯状の麺生地を細い糸状の
麺に切っていきます。
出来あがったばかりの麺は
それはそれは綺麗な物でした。