金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第163回

過去のブログでも何回もリンクしてるのですが、まずはこの動画をご覧ください。

らーめん南の歌by端山龍麿

https://youtu.be/d6XHGy00Fnk

時は昨年の8月9日。

会場は辻堂の『パクチービストロ残心』

歌っているのは湘南在住のシンガーソングライター『端山龍麿』さん(以下龍麿さん)だ。

龍麿さんは僕の営んでいた湘南の『らーめん南』にずっと通っていてくれた。

しかし個人的に話をしたりお酒を飲んだりし始めたのは、僕が湘南を離れるほんの何ヶ月前だった。

だから個人的なお付き合いはそれほど長くはない。

龍麿さんにとって僕の第一印象は最悪だった筈だ。

当時の僕はお酒を飲むたびに泥酔するまで浴びるほど飲み、毎回前後不覚になってどの様にして自分の家まで帰ったのかを覚えてない日ばかりだった。

龍麿さんが言うには、「すでに何度もお互いに自己紹介してんだけど、大ちゃんは毎回毎回泥酔してるから、会うたびに『えっと、どなたでしたって?』って聞くんだよ。その度に『龍麿!いい加減覚えろよ!』って何度も言ったよ」との事だった。

ある日、僕は例によって大泥酔していた。

湘南を離れる数ヶ月前の夜の事だ。

精神的にも肉体的にもギリギリの時期だった。

僕と龍麿さんにとってお互いの行きつけのバー『BAY134』にて事件(というより、ぼくがやらかした)が起きた。

何が気に入らないったのか、僕は一人の飲み客に腹を立てて、ケンカ騒ぎに発展しそうになった。

その時に店にいた男性の常連客は、全員僕がお世話になっていた年上の先輩がばかりで、店のマスターの栄太郎さんを含めて男性四人に羽交い締めにされて僕は店を追い出された。

その四人の中に龍麿さんもいたのだ。

なんでも龍麿さん曰く「何度追い出しても自転車を担ぎながら店への階段を登ってくるだよ。足音がゴジラにしか聞こえなかったよ」との事だった。

当然、あまり覚えてない・・・(本当にすいませんでした)

僕は翌日、迷惑をかけたみなさんに謝って回った。

普通に考えたら、大説教されるか、出入り禁止を喰らう場面なのに、みなさんなぜか許してくれた。

そしてそれに懲りずにぼくはまた酔っ払うのだが・・・(今は驚くほど飲みすぎなく、そして乱れなくなりました。当時のストレスが本当に半端ない状態だったのです。と、言い訳にならない言い訳をしておきます)

その中で、『パクチービストロ残心』(以下残心)の佐藤さんが「最後に祭りやろうよ!ライブしよう!」と言ってくれて、僕の送別会として僕がボーカル、残心の佐藤さんがギター、BAY134の栄太郎さんがベース、そして親友であり、金澤流麺らーめん南の出資者になってくれた剛がドラムを担当する『エル☆ミチェラーダjr』のライブをする事になった。

そのイベントに龍麿さんが「大ちゃん、俺スケジュール空けてるから。俺、歌うからね」と、自ら出演に名乗りを上げてくれたのだった!!

あれだけ酒の席で迷惑をかけたのに、本来なら呆れられて嫌われてもおかしくないのに!

その日龍麿さんは相棒のベーシスト大沢イットさんと共に会場入りした。

ともすると学園祭のりみたいな僕たちとちがい、龍麿さんはプロのミュージシャンだ。

本来ならおこがましい話なのだが、龍麿さんの中で僕の湘南での最後の夜に何か刻もうとしてくれたのだろうか・・・。

龍麿さんはリハーサルからプロフェッショナルだった。

そして僕にこう言った。

「大ちゃん、俺も出番が終わるまでは酒は飲まねぇから、大ちゃんもそこは我慢しろよな」

僕みたいな素人のボーカルに、キチンとプロとしての心構えを要求してきた。

佐藤さんや剛を始め、周りはみんな僕がお酒を我慢できるなんて思ってなかったが、僕はきっちり我慢した。(ほんとの事を言うと、ライブが終わった後も興奮が強すぎてお酒後喉を通らなかった・・・)

龍麿さんの出番が近づいてきた。

それまでの『送別会』としての温かい空気の中に、急に凛とした空気が流れた。

何曲か演奏した後、「こいつ、本当に大暴れしやがって〜」みたいな僕をイジルMCを挟んで歌い出したのが、この『らーめん南の歌』だった。

・・・圧巻だった。

ぶっきらぼうな「・・・手拍子」の一言で会場の全員が手拍子を始めたのは、龍麿さんの存在感がそうさせたのだ。

みんなが龍麿さんの空気の中にいた。

僕を含めて会場にいた全員がこの曲を初めて聴くのに、全員が歌詞を理解して最後は合唱になった。

「お前の〜作ったらーめんが〜好きだ〜」

シンプルな言葉とメロディだかこそ、会場全員が同じ想いでいてくれた。

もちろん、僕は泣いた。

僕は金沢で再起を掛けた再出発を果たした。

現状は正直なところ、まだまだ厳しい。

店を運営させる事も、僕と両親の生活もギリギリのラインだ。

でもこの曲を聴くといつも勇気が湧いてくる。

不可能なんてないと思う。

湘南でそうだったように、金沢でもたくさんの笑顔に囲まれてらーめんを作っていける自信が湧いてくる。

僕は金沢で知り合った人にこの曲をいつも聴かせる。

先週だって、最近仕事で繋がった雑誌の編集者に聴かせたところだったんだ。

昨日は日曜日だった。

日曜日は金澤流麺らーめん南は15時で閉店だ。

閉店まであと10分くらいの時に、「今向かってるんだけど、住所教えて?」という電話がかかってきた。

この電話をしてくださったお客様が見えられるまでは、営業を続けようと思い、15時を回っても営業を続けた。

すると15:30頃に現れたのはなんと龍麿さんだった!

南魚沼でライブを終えたあと、僕のらーめんを食べるためだけに四時間も車を運転して金沢まで来てくれたのだ!!

全く新しい僕のらーめんを食べた龍麿さんは

「お前、頑張ったな。このらーめん食べて安心したよ。お前ならやっていける」

と僕に言ってくれた。

らーめんだけ食べたら、龍麿さんは本当に帰って行った。

車で6時間運転して帰るそうだ。

龍麿さんが僕の店に滞在した時間は30分くらいだろうか。

その間、現状のことや、懐かしい笑い話、未来への夢なんかを息継ぎもせずに喋り続けた。

龍麿さんは何度何度も深く頷いてくれた。

湘南の人は本当にサプライズ好きだ。

突然来て、僕を驚かして、帰っていく。

もし店が営業してなかったら?とか誰も考えない。

みんな口を揃えて言う。

「大ちゃんが喜ぶのが解るから、驚かしたいんだよね」

って。
泣かせるなよー!

龍麿さん、ほんまにありがとうございます!!

金沢の人たちにたくさん笑顔になってもらいたいと思ってます!!

そのために今日も明日も頑張ります!!

龍麿3のアルバム、店エンドレスリピートしてます!!