金澤流麺物語 第135回
そう言えば・・・以前に高校のラグビー部の後輩が
「もし九条ネギを使うなら業者を紹介します」
なんて言っていたなぁ・・・。
そんな不確かな記憶を頼りに、
その後輩に連絡をしてみました。
後輩が二つ返事でその業者を繋いでくれて、
業者からすぐに僕の元に連絡が来ました。
「こんにちは!南さん!
○○さんの紹介でお電話させていただいた重と申します}
その明るい声の主は、
京都知七という九条ネギを専門で扱う農家の社長、
重義幸(以下重君)さんだった。
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この貫禄のある彼こそが重君です。
彼はなんと僕の母校、洛北高校の二年下の
学年の後輩でした。
僕のラグビーの後輩いわく、
「一年生からゴールキーパーでレギュラーで、
17歳以下の日本代表にも選ばれていた」
アスリートとの事だった。
「南さんの事はよく覚えています。
というより、僕の学年で南さんの事を
知らない人はいないです。
いやぁ、インパクト強かったですから。
卒業式で○○を○○して○○しましたよね?」
という伏字にせざるを得ないエピソードを
覚えられてました・・・。
重君は30歳までは車の営業マンをしていたそうです。
そこから農業に飛び込み、今では年商1億円に達するとか。
そこまでの苦労はきっと計り知れない物が
あった事でしょう。
そして僕が感銘を受けたのは、
その実績よりも重君の心意気でした。
「僕達も料理人と同じです。
美味しいネギを作って喜ばれたい。
その一心です」
「僕は農家は稼げる!と若い人に
思ってもらえる仕組みを作りたいです」
「情報は全て開示します。
栽培方法も過程も見せます。
多少の農薬を使っている事も見せています。
でも最低限に抑えて、
農薬を使わずに済むやり方を
日々研究しています」
「天候によって出荷できない場合でも、
正直にお伝えします。
それこそが信頼関係だと思います。
しかし今まで出荷出来なかった事はありません」
「注文が入ってから畑に行って
ネギを切ります。だからめちゃくちゃ新鮮です」
その誠実な仕事への向きあい方に、
僕は彼の九条ネギを使いたいと思った。
「すぐにサンプルを送ります!」
と対応してくれた。
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さっそくサンプルのネギが届いた。
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そしてさっそく試作に九条ネギを使ってみた。
・・・抜群だ。
スープと脂の邪魔をすることなく、
味を引き締めてくれる。
そして噛めば噛むほど、
旨みが広がって・・・・
美味い!!!
この九条ネギで行く。
らーめんの一つのパーツが決定した。
その一つ『九条ネギ』を僕のルーツである
京都から取り寄せる事が出来て、
しかもその取引先は僕の母校の後輩・・・。
不思議な縁だな・・・と
少し感慨深い想いがこみ上げてきます。
僕のらーめんは、
僕の人生は、
京都から湘南を経由して金沢まで、
ずっと一本の道で貫かれているのです。
以下、次回に続く。