金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第98回

僕とタカベェは「どうもです~」と
気軽な感じで席に着いて焼酎を飲んでいた。

席を譲って下さった方は一人で来ている
常連の方らしく、店のオーナーと
静かに会話を楽しんでいた。

僕とタカベェはお互いの近況などを
二人で話してたのだが、
店主がその男性を呼ぶ名前が
僕の記憶のどこかに引っかかった。

その方は『南部さん』と呼ばれていた。

僕「すいません、会話に入っちゃって。
あの、失礼かもしれませんが、
20年ほど前、○○引越センターで
引越をされませんでした?」

南部さん「したよ?なんで?」

僕「やっぱり!!その引越、僕行きました!!」

南部さん「嘘でしょ?あの時??」

当時僕は20歳か21歳だっただろうか。
その頃僕は自分でバリカンで丸坊主
していたので美容室に通う習慣はなかった。
そのナンブサンの引越に一緒にいった
仕事仲間が「ナンブヘアの社長の方だ」
と言っていたから鮮明に覚えている。

僕の同僚はずいぶん緊張していた。
その緊張していた仕事仲間は、
きっとその頃にナンブヘアに
お世話になっていたのではないだろうか。
僕は美容室に全く興味がなかったので
あまり緊張しなかったが、
その同僚のお陰でこうして
再会を果たす事が出来た。
(再会と言っても僕が一方的に
覚えているだけだが)

「こいつね!金沢でらーめん屋
やるんすよ!美味いらーめん作るんで
ほんまよろしく頼みます!」

とタカベェが僕の事を持ちあげてくれた。
もしタカベェがそう言ってくれなかったら、
僕は南部さんとただ当時の思い出話を
して終わったのではないだろうか?

なぜなら僕は金沢に帰ってきたばかりで、
東京の法律事務所で自己破産の
手続きをしたばかりだった。

ブログの第1回で書いたように、
『失意の底』にいたのだ。
とてもじゃないが、
自分の事を胸を張って

「ラーメン屋を開業します!」

なんて言える心境ではなかった。

僕はまだ心を閉ざしたままだったのだ。

「こいつね、腕だけは確かなんすよ!
俺のツレなんすわ!ほんまよろしく
頼んます!」

タカベェが勢いよく言ってくれたおかげで、
南部さんも少し興味を持ってくれた。

「へぇ、そうなんだ。いつ頃からやるの?」

等と色々と聞いてくれて、
その場で様々な会話を持つ事が出来た。

有難い事に連絡先の交換までさせていただき、

「何かあればなんでも相談してきなよ」

というお言葉までいただいた。

南部さんと解散したのち、
僕もタカベェも本当に上機嫌で、
夜中の片町を二人で肩を組んで
大声で歌って笑いながら歩き、
最高の気分だった。

僕はこの南部さんとのご縁を
本当に大切にしたいと思ったし、
きっかけを作ってくれたタカベェに
心の底から感謝をした。

しかし僕が南部さんの事を
本当に心から尊敬するようになるのは、
また後日の話だった。

以下、次回に続く。