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金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第93回

僕が海辺の町で切り盛りしていた店が
軌道に乗り始めた頃に起ったある現象とは?

それはほとんどのお客様が自分が食べた丼を
カウンターの上に上げてテーブルをダスターで
拭いてくれた事だった。

それまでもそうした事をしてくださる方は
何人かはいた。
しかしとある時期を境に急に皆さんが
やってくれるようになった。

「恐れ入ります!ありがとうございます!」

と恐縮しながら走りまわっていると、
皆さんペコ、と黙礼して店を出て行かれた。

その後どんどん僕の店の評判は広がり、
気がついたら大繁盛店になっていた。
もっとも僕の忙しさも比例して跳ね上がり、
その割に収入はほとんど変わらなかったから、
僕自身は『成功した』という意識はなかったが、
今思うとれっきとした成功店だった。

なぜ成功できたのか?

それはきっと丼を下げてテーブルを
拭いてくれたお客様が、
どんな時でも辛抱強くらーめんを待ってくれて
僕と僕の店を支えてくれたお客様が、
僕の店に『物語』を見て、
その物語に『参加』してくれていたからだと
今なら思う。

今でも時々当時のお客様から
メールをいただく事がある。

「店長がいなくなっても味は残ってます!」
という今の店を讃えるメールもあれば、
またはその反対意見の様なメールもある。

今の海辺の町の店には僕はもう無関係なので
それらのメールに対して正直なところ、
どう返信していいのか解らないのだが
(当然作り方ややり方も変わっていると思うし)、
ただ一つ言える事は、こうして連絡を
下さる皆さんは今でも僕との物語を
共有して楽しんでくださっているのだと思う。

そう思うと心の奥から熱い感情が浮き上がってくる。

つまり、
僕はまた金沢でお客様と物語を
共有する様な店を作りたいのだ。

大切なのは

『半径3メートルのリアリティ』

この半径が大きすぎると、
物語は途端に効力が薄れる。

半径が近くて香りが伝わるくらいの
距離感が大切なのだ。

次回はこの『半径3メートルのリアリティ』に
ついて書いてみたいと思う。

以下、次回に続く。

*写真は中学生の頃から大好きな
THE SPECIALS
僕にスカやロックステディを
教えてくれたのは彼らでした。