金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第54回

注;文体をですます調ではなくて
語り調に戻します。
過去の話を綴るのは
この方が書きやすいので。
読みづらくてすいません。

僕の日々の仕事内容は
とても楽な物だった。
言われている事を淡々と
こなすだけの毎日。
今まで寝ないで仕事をする事を
ヒロイックな陶酔感すらもって
行って来た僕にとって、
仕事が楽と言うのは罪悪感すらあった。

しかし僕は自分の心と体の
デトックス、またはリハビリのつもりで
こののんびりと暮す時間を有難く
享受することに決めた。

「石川県に帰ったらきっとまた
金銭的にも精神的にも切り詰めた
生活が待っている。
だから今は心と体にたまった
灰汁を取り除いてしまおう」

この時間のある日々はきっと
神様がくれた束の間の夏休みに違いない。
自分にそう言い聞かせて
乗りたいだけ自転車に乗り、
会いたいだけ人に会い、
読みたいだけ本を読んで過ごした。

そんな毎日の中、
ライブの日程が決まり、
リハーサルが始まった。

最初のリハーサルは
アコースティックギターで佐藤さんが
弾き語りした楽曲を録音し、
栄太郎さんがベースを練習して
僕が歌を歌うだけの簡単な物だった。
それだけで十分に楽しかった。
何度も何度もベースラインを
間違う栄太郎さん、
自分の作った曲の構成を
忘れる佐藤さん、
そしていつまでも佐藤さんの
作ったメロディに自分の書いた
歌詞を乗っける事が出来ない僕。

それでも時々ピタッと上手くいく
場面があると

「俺達、イケてね?バンドっぽくね?」

等とレベルの低い盛り上がりをみせて
いたのだが、僕にはこの時間だでけ
本当に幸せだった。

仲間たちと自分達の作った楽曲で
夢中になって遊んでいる。
こんな時間が僕にこの人生の中で
再び訪れるなんて夢にも
思わなかったからだ。

しかし僕たちにはドラムがいなかった。

もう日にちは迫っていたので、
とにかくすぐにでも叩ける人間が必要だった。
僕には彼しか選択肢がなかった。

親友であり僕がこれまでの仕事を
辞める事を一番最初に相談し、
そしてかつて一緒にバンドをしていた
剛だった。

「いいよ~」

と剛は簡単に引き受けてくれたが、
剛は引き受けた時点で曲も完成していて
自分はただコピーすればいいと考えていた。

だから僕たちが遊んでいる様な
状態だなんて思ってもいなかったのだ。

結果、剛が加入してくれた事で
バンドは引き締まった。
楽曲のクオリティも上がった。
剛はプロデューサー的な
役割を担ってくれた。

佐藤さんの作る抒情的で切ない
メロディもより引き立った。

4にんがそろって練習できたのは
スタジオに入ったたったの2回。
前日と当日のリハーサル。
僕たちはそれだけの練習だけで
当日を迎える事になった。

完璧主義者の剛は不安を感じていたが、
佐藤さんはこの状況を心から楽しみ、
栄太郎さんはなによりみんなでピザを
食べる時間を楽しんでいた。

僕はこのちぐはぐで個性が豊かな
ほとんど即興のバンドに根拠の
ない自信を感じていた。

僕はこの時点でマインドセットが
完璧に出来ていた。

・ライブを成功させて伝説を作る
・会場を提供してくれた佐藤さんの
お店『残心』を今年一番の売上にする

決めたからにはイメージを膨らませて
後は歌うだけだった。

不安がなかったと言えば嘘になる。
しかしステージに上がってしまえば
そこはもう僕次第なのだ。

フロントマンでボーカルの僕に
全てがかかっている。

僕は昔から本番に強くて
実践でこそ実力を
発揮するタイプなのだ。

これを読んでくれている
みんなが僕の根拠のない
向こう見ずな自信を笑ったとしても、
実際そうなんだ。

自分が自分を信じなくて誰が信じる?

そしてライブは当日を迎えた。

以下、次回に続きます。