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金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第19回

自己破産へと繋がる
海辺の町での生活についての話と並行して,
今現在の事や
個人的な趣味格好についても
書いていきたいと思う。

そろそろ第一回目のダイエットの
途中経過の報告も
しなきゃいけないし・・・。

数回に分けて現在の話を
書いていきますので、
みなさんどうぞお付き合いくださいませ。

 

野茂英雄が好きだ。

言わずと知れたスーパースター。
日本人メジャーリーガーのパイオニア
メジャーでのノーヒットノーラン2回。
清原との名勝負数え唄。

記憶にも記録にも残るリビングレジェンドだ。

僕は子供の頃から野球は阪神ファンだが、
野茂英雄だけは球団を越えて好きだった。
(ちなみに、小学生の頃、阪神では
川藤幸三が一番好きだった。
周りは真弓明信がダントツ人気だったが、
僕は川藤が好きだった。
その審美眼は、絶対に間違ってなんかない)

自らのフォアボールで満塁になった後、
野茂英雄劇場は始まる。
一つでもヒットを打たれたら絶体絶命の
場面だ。
その絶体絶命の場面を野茂は
自ら作り出してしまう。
しかしそこからが圧巻だった。
表情一つ変えずに後続の打者を
三振で切って取る。
チームやファンからすれば冷や汗ものの
場面なのだが、野茂は

「だからどうした?」

といわんばかりに感情を一つも
出さずにのっしのっしとマウンドから
ベンチへと帰ってくる。

その様を野茂の実力を早くから認めていた
仰木監督ニコニコしながら
楽しんでいたらしい。
監督も相当肝が座っている。

しかし後任の監督の鈴木監督は
野茂のその『ムラ』のある投球内容を
良しとしなかった。

ピンチになると簡単に野茂に
交代を告げたのだ。
もちろん監督としての鈴木監督の采配が
間違っていたわけではない。
鈴木監督の目指す野球と野茂の野球が
合わなかったのだ。

並の投手ならそこで自分のコントロール
鍛えるなり、投球内容のムラをなくす
努力をするのだが、野茂は違った。

メジャーへの挑戦を表明する。

誰も行かない道を進んだ野茂英雄
彼は熱心な佐野元春のファンだったそうだ。
いかに我が道を行く野茂でも、前例のない
メジャー挑戦に向かう道中の心境たるや、
いかがなものだったろうか?

不安がない、なんて絶対に言いきれない。

その野茂が日本からアメリカに渡る
飛行機の中でヘッドフォンで聴いていたのが
佐野元春だったらしい。

それを聞いた佐野元春も相当喜んだそうで、
急遽佐野元春がアメリカに野茂を激励に
いく番組が組まれた。
その頃僕は18歳だった。
運よくその番組を観ていたのだが、
そもそも無口な二人が話すのだから、
サービストークの一つもない淡々と
した番組だったと覚えている。

二人で静かに公演を歩き、静かに
キャッチボールをする。

しかしそこにはお互いの事を認めた
者同士の静かな絆を感じた。
野球と音楽、それぞれ違う道で尊敬しあう
二人の無言の交流は、どこか詩的な
浪漫を湛えた説得力があった。

球場を訪れた佐野元春が野茂に歩み寄り、
握手を交わして挨拶をしたあと、
録音マイクをフルに活用しないと
聞きとれないようなささやき声で
こう言った。

「・・日本中がね・・・野茂君の事を・・・
誇りに思ってるよ・・・」

野茂は少しだけ表情を崩して、小さく頷いた。

話がずいぶんと関係のない
方向へと来てしまったが、
このエピソードを今夜
思い出したのには意味がある。

僕は今年の五月の頭までらーめん屋を
退職するつもりもなかったし、
まさか自分が自己破産をするなんて
想像もしてなかった。

しかしノイローゼの様な状態はすでに
2年近く続いていた。
あまりにも苦しい状況を引き起こしている
のは自分自身だ。
だから自分がどうにかするしかない・・・。
ずっとそう思っていた。
(なぜその様な状況に陥っていたかは、
後々このブログの中で語っていきます)

毎日1分の休憩もなく20時間に及ぶ仕事。
1年半にも及ぶ休日のない生活。
金銭的にギリギリの日々。
そんな毎日の中で、ふと頭をよぎる
思いがあった。

「ラーメン屋になりたかった。
自分のらーめんが1日でも早く
作れる様になりたかった。
そしてそれを叶えた・・・
かの様に見える毎日・・・。
なのになぜ苦しい?
やりたい事をやっているのに、
何が不満なんだ?
・・・・・これが・・・
ほんまにやりたかった
事なのか・・・?」

やりたい仕事をみんなが出来る
訳じゃない。

以前に友人の奥さんに言われた言葉だ。

「南君は幸せなんだよ。
うちの旦那なんて・・・」

解る。
解ってるよ。
贅沢病なのかも知れない。

でもこの極限の生活の中で、
自分自身を見失いそうだった。

何度もこのブログに出てくる
親友であり今やスターシェフの
モトイの言葉。

『俺たちは自己表現を
したかっただけや』

出来てんのか?
出来てんのか?

否!
否!
否!

じゃぁ、どうやって?
いつ?

問いかけても問いかけても
答えなんて出なかった。

だからこの状況をどうにか突破
するしかない!
自分の力で!

でもどうやって?

解らないから、とにかく
歯を食いしばるしかない!

と答えの出ない問答を毎日
繰り返していた。

その時にたまたま流れていた
FMラジオから聴こえて来たのが、
佐野元春の『サムデイ』だった。

「手遅れ」と言われても
口笛で答えていた あの頃
誰にも従わず
傷の手当てもせず ただ
時の流れに身をゆだねて
~中略~
SOMEDAY
この胸にSOMEDAY
誓うよSOMEDAY
信じる心いつまでも SOMEDAY

一人でラーメン屋と並行して切り盛り
していた居酒屋の掃除をしながら、
本当に涙が零れた。

信じよう、いつかはきっと、
信じよう・・・。

 

このブログの事を、
「話がきれいすぎる」
って感想をもらったけど
(もちろん親しみをこめて、ね)
綺麗事じゃなくて、
歌の1節に励まされる時って
ほんまにあるねん。

嘘じゃないよ。

ほんまにあるねん・・・。

今年のテーマソングはこれだ・・・
と思って頑張ってきたけど、
結局らーめん屋を退職して
自己破産して帰ってきた。

そして全部曝け出して前に進むって決めた。

だから、これからは
『SOMEDAY』(いつか)
じゃなくって、
必ず前に進むって決めた。

野茂英雄にはどうやったってなれないけど、
少し勇気もらって、自分らしく、
背伸びせずに、ありのままで、
進んでいけるかな。

そう思う、今は。

今回は今までで一番長い文章に
なりました。
最後まで読んでくださった方、
いつも読んでくださっている方、
ほんま、ありがとうございます。

明日もあなたが幸せでありますように。
明日もあなたがあなたらしくありますように。
LOVE&BEER!
(最後にこの動画を。
とても幸せなライブ映像なので、ぜひ)

 

https://www.youtube.com/watch?v=LK6N7tcYSOc