金澤流麺物語

金澤流麺らーめん南の店長南大祐の独白ブログです。こちらは営業内容やらーめんそのものとは関係のない日常的な話や、店長の趣味格好などを書いていくブログです。

金澤流麺物語 第12回

金沢に帰ってきておよそ4週間が経った。
自己破産に必要な書類を集める作業で
あったり、15年ぶりに働かさせて
貰っている引越屋の仕事であったりと、
毎日何かと忙しく過ごさせてもらっている。

それでもK県でラーメン屋を切り盛り
していた頃に比べると、一日の移ろいを
感じながら生活をしている事に気付いた。

朝、太陽が昇る前に目覚め、夜は日付の
変わる前に布団に入る。
一日一日を噛みしめて生活をしている。

今思えば、12年間の開業から
金沢へと帰ってくるまでの期間は、
人間の体力を超えた地点で
働いていたと思う。
友人が

「大変だね」

とか

「休みほしくないの?」

とか

「俺にはそんな働き方出来ない」

等と言ってくれたけど、そこで自分が

「大変やねん、休みほしい」

なんて言おうものなら、僕の中の何かが
崩れてしまいそうだった。
最長で1年と半年休まなかった。
朝は9時から明け方の4時までずっと
店にいて、3時間ほど寝たらまた店に行く。
そういう生活を続けていると、
どうしても様々な事が滞ってくる。
生活や交友関係、体の不調、
そして心もバランスを崩し始める。
僕も最後の2年ほどは自分でも
ノイローゼ気味だったと思う。
でもそれは今になって振り返って
みて思うことであって、その当時は

『自分はまともだ』

と思っていた。

・・・もっとも、ごく数人の親しい
友人たちは僕の危うさに
気付いていたみたいだが・・・。

なぜその様な状況になったかも
いずれこのブログで書ける日が
きっと来ると思う。

今回のブログで書いておきたい事は
僕のこれまでの精神状態の事では無くて、
僕自身の

『酒癖の悪さ』

についてだ。

とにかくお酒でたくさんの失敗をしてきた。
地元地域の皆さんには特に迷惑をかけてきた。
ただ暴れるとか、ただ問題を起こすだけなら
まだしも(いや、あかんけど)、どうにも
おかしな乱れ方を良くしてきた。

さっきまでニコニコ飲んでたと思ったら、
誰かの表情が気に入らなくて急に暴れたり、
落ち込んだり,一言で言うと気難しい奴、
だったと思う。

散々迷惑をかけても、翌日には酒を
飲みたくなる。
酒が飲みたい、というより、

『心と体が疼くように酒を欲する』

のだ。

睡眠時間は三時間しかない。
でも朝までやってる飲み屋を
見つけて飲みに行く。
飲み屋が開いてなければ、24時間
営業の牛丼屋に行き、牛丼は頼まずに
ひたすらビールを飲む。
そして1~2時間ほど仮眠をとって
また店に行く。

今、こうして忙しくも規則正しい
生活をしていると、なぜあれほどまでに
酒を欲したのかが解らなくなってくる。

なんとなく思うのは、終わらない屈託や
生活の閉塞感を少しでもこじ開ける為に
アルコールの力が必要だったの
ではないだろうか?ということだ。

ここまで書けばなんとなく伝わると
思うが、アルコールへの精神的依存
だったように思う。

振り返れば元々酒癖は悪かった。

僕の酒癖の悪さは、折り紙つきだ。

今でも飲みすぎると凶暴で暴力的な
自分が出てきそうで怖い。

 

しかし、今は飲みたいとあまり思わない。

不思議なくらいに自然と・・・。

前置きが長くなりすぎた。
話を修業時代に戻す事にしよう。

ラーメン屋で働き始めた最初の一年は、
それはそれは大人しく生活をしていた。
毎週、休み明けに三千円だけ
銀行から引き出す。

そのお金を大切に大切に少しずつ
使って、なんとか休み前の日に
千円だけ残るように生活をする。
そして休み前の仕事を終えて
地元へと帰ってきたら、今はもうない
当時の地元の駅ビルに入っていた
豚カツ屋で¥980のカツ重を食べる。
それが自分へのご褒美であり、
唯一の贅沢だった。

毎月の支払は家賃と光熱費と
携帯代くらいのもの。
そして初任給も飲食業の中では
高い方だったと思う。
自然と貯金は増えた。

休みの日も遊ぶ相手もいなければ
飲みに行く店もない。
せいぜい好きな小説を買って読んだり、
CDを買って聞く程度だった。
唯一、今では僕の友人でバンド仲間の
佐藤さんが経営している『残心』という
ユニークな店があるのだが(いつかこの
店についてもゆっくりと書きたいと
思っている)、当時は僕の両親くらいの
世代のご夫婦が営んでて、そこに昼ご飯を
食べに行くか軽く飲む程度だった。

今思えばとても穏やかな日々だった。

ただ、24歳の若いエネルギーと鬱屈が
それで消えるわけはなかった。

私生活は大人しく、仕事はまじめに
取り組んでいた一年だった。

一年もすれば僕は店の戦力として
期待される様になり、給料は
跳ね上がった。

僕それまでの生活では味わった事の
ないくらいの充実感を覚え始めた。

以下、次回に続く。