ラーライブ〜MSGフリープロジェクト〜

石川県を中心に北陸で無化調でらーめんを作っている有志によるアミーゴ達の活動をブログに書いていきます。よろしくお願いいたします。

金澤流麺物語 第6回

先日のブログでIGAZO.limitedの
代表であり親友の五十嵐剛の事を

『イガゾー』

と書いていたら
『ややこしいから剛でいい』
といわれたので、これからは実名で書く。

今日は京都の頃からの親友について書きたい。

僕は19歳から24歳までの5年間を金沢で
過ごしていたのだが、夢や目標を持つことが
出来ずにモヤモヤした気持ちのまま過ごしていた。

若いころというのは誰しもが
似たような気持ちを持つとは思うのだが、
人一倍自意識の強かった僕は

『俺には何か出来るはずだ』

と思い続けていた。

夢も目標もないのだから、まずその

『何か』

が解らない。

解らないが『何か出来る』その堂々巡りの
エネルギーは得てして違う方向へと
流れて行ってしまう。

肉体労働で汗を流し、バンドを結成したり、
酒を飲んで暴れたり、よくある若者の
遅れた青春の1ページだ。

どこにでもある凡庸な物語だ。

そしてみんな自分の凡庸さを
受け入れて大人になる。
大人になれない太り気味の
ピーターパンは、
段々と周りに馴染めなくなっていく。
その馴染めなさを自分の責任だと受け止める
度量もないから、それを

『世間』

とか
『社会』

とか、こともあろうに
『金沢』

のせいにしたりしていた。

酒の席での狼藉やどうしようもない交通事故
なんかを誰かのせいにしたいと思うほど、
僕は未熟だった。

金沢でも京都でもなくどこでもいいから、
どこかへ行きたいと漠然と考えていた頃に、
僕は一本の電話をもらう。

『おう。大さんけ?
俺なぁ、○○に引越てんけ』

(○○とはモトイが引越をした街を含め、
その辺りの共通の文化圏を持つ、
海を中心とした地域の通称だ)

電話の相手は高校時代からの
親友、モトイからだった。
彼は当時東京のホテルでコックをしていた。
東京の寮から職場へと通っていたのだが、
サーフィンがしたいがために○○に
引っ越したのだという。

『・・・俺も行く!』

俺は電話をもらった時点でもう○○に
引っ越すことを決めた。
理由なんてなんでも良かった。
とにかく金沢を出るきっかけが
欲しかっただけだ。

まさかモトイも本気で来るとは
思ってなかっただろう。

僕は部屋中のレコードと本を片っ端から処分して、
モトイの部屋に段ボール箱2箱と
布団を送りつけた。

モトイの許可もなく押しかけ強盗の様に
転がり込んだのだ。
モトイの回想によると
『こいつ、ほんまに来よった・・・』
と呆れたらしい。

○○・・・。
言葉ではよく聞くが、
どんな街か全く知らなかった。
単純なイメージとして

『金沢よりは開けてるやろなー』

とか

『関東は仕事なんて山ほどあるやろなー』

とかしか思ってなかった。
『多分ええ感じのレゲエバーとかあるやろなぁ。
そこでバーテンの真似事とかして
テキトーに暮したらええわー』
とかいい加減な事しか考えてなかった。

地図を開いて『○○』という市名を
探してみたのだが見当たらない。
腹が立ってきた僕はモトイに電話を
掛けた。

『おい!○○なんてどこにもないやんけ!
嘘つくなや!』

『・・・お前はあほか・・・K県F市や』

僕は『○○市』という街があると
思っていたくらいに何も知らずに
○○へと引っ越したのだった。

初めてモトイの住む町の最寄駅に
降り立った日のことを今でも思い出す。
今でこそ大型ショッピングモールが
出来て駅も大きくなり、飲食店も増えた
駅前だが、15年前の夜の駅前は
全くの寂しいさびれた駅だった。
僕は自分のイメージとかけ離れていたことに
愕然とする。

『ええ感じのレゲエバー、
どこにあんねん・・・?』

さっそく○○に越してきたことを
後悔し始めていたのだが、取りあえず
今日はモトイが仕事から帰ってくるのを
待って、どこかへ飲みに行こう。
あいつの事だから、『おー!大さん、
よく来たねぇ!飲みにいこっけー!』
とか言って大騒ぎするはずだ・・・
と勝手に想像していた。

最寄駅にモトイが着いたのが見え、
僕は大きく手を振る。

『おー!遅いやんけ!来たぞ!』

しかしなぜかモトイは重い顔を下げて
僕に近づいて来る。
心なしか睨まれてる様な気がする・・・。
そこでモトイが第一声を発した。

『・・・お前、貯金いくらあんねん?』

呆気に取られた僕は素直に答える。

『50万位かな・・・』

『お前!貯金あるうちに仕事と部屋探せよ!
ずっと俺んちいんなよ!』

全く想像もしていなかった発言に
僕は固まってしまった。

以下、次回に続きます。

 

 

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