ラーライブ〜MSGフリープロジェクト〜

石川県を中心に北陸で無化調でらーめんを作っている有志によるアミーゴ達の活動をブログに書いていきます。よろしくお願いいたします。

金澤流麺物語 第3回

15年続けたラーメン屋の仕事を離れ
自己破産をし
親のいる石川県に引っ越してきた。

失意の底にいるからと言って、
ただ寝てるわけにはいかない。

今僕の最優先課題は
『自己破産の手数料を用意する』
ということだ。

とにかく仕事をすぐに始めなければならない。

ラーメン屋の店長を務めていた
某県から荷物を石川県に引き上げる際に
15年前まで同じ引っ越し屋で働いていた
同僚に電話をしてみた。

『こっちに来る便に便乗して荷物を
引き揚げてもらえないかな?』と僕。

『全然いいよ。
なん?こっち帰ってくらん?
安くするよ。』
と元同僚。

15年間全く音信不通だった僕の急な相談に
返事一つで応えてくれた。
結果、あり得ないくらいの安い金額で僕の
引っ越しを引き受けてくれた。

僕はこの時で決めていた。

『どうにかお願いして
引越屋で働かさせてもらおう』
と。

引越を終えて古巣の会社に顔を出すと、
さすがに15年ぶりで顔ぶれは大分変わってはいたが、
懐かしい顔にたくさん会えた。
そこで働きたい旨を伝えると
『もう無理だろう』
と大半のメンバーは反対してきた。
当然だ。
かつて僕が引越屋で働いていた頃は
19歳~24歳。
力溢れる若者だった。

僕は現在39歳。来年40歳だ。
現役のスタッフ達もほぼ20代。
自嘲でも何でもなく、おっさんだ。
だが僕に仕事を選ぶ権利なんてない。
仕事があるだけ幸せだ。
僕は頼み込んで働かさせてもらえることになった。

こうして今、
アーク引越センター金沢支店で
バイトとして働かさせてもらっている。

石川県に引っ越してきて一番不安だったのは
『すぐに仕事が見つかるか?』
ということだった。

飲食店やその他の業種も考えたのだが、
面接を受けて落とされる・・・
というのを繰り返して
仕事のない時間が増えていくことが
本当に怖かった。

『自己破産』をして
気持ちが弱くなっている
部分もあるかも知れない。

そんな状況の中、
すぐに働かせてもらえ、
そして受け入れてくれた
アーク引越センターには
本当に感謝している。

特に僕の事を全く知らない
若いスタッフさんたちには
本当に感謝している。

いきなり会社にやってきて、
会社の社長や上司と普通に挨拶を交わし、
仕事をお願いしている僕を見れば
『過去に働いていた人なんだな』
というのは誰だって判る。

引越屋に限らず肉体労働は実力主義だ。
いくら経験者の僕とはいえ、
15年もブランクがあり
40歳手前のおっさんが
いきなり通用するわけもない。

でもただの新人ではない・・・

そういう若いスタッフの皆さんからしたら
僕ほど『扱いづらい新人』
はいなかったと思う。

そんななか、
『南さん、元気っすね!』
『南さん、バリバリ動けるじゃないですか!』
『南さん、敬語使わないで下さいよ!』
なんて気軽に声をかけてくれる。

だから僕はそんな彼らに
目一杯の敬意と筋道だけは通そうと思っている。

目一杯新人としての仕事を全うする。

皆さん、本当にありがとう。

どのスタッフよりもでかい体で、
関西弁と金沢弁と標準語が混ざった
訳のわからないおっさんの
僕を受け入れてくれて。

『自己破産』から
一歩ずつ前に進むために、
今日も元気に働いてきます。